- 所長コラム
工事台帳の“通る”作り方|契約→出来高→検査→請求を一本線にする実務
入札・経審・監査で効くのは、工事台帳の整備です。
本稿では、契約→出来高→検査→請求までの流れを“同じ番号で追える状態”にし、差戻しゼロを目指す実務手順とチェックリストをまとめます。
H2: 台帳の目的をはっきりさせる
何のために:原価管理と証跡(入札・経審・監査)に使うためです。
誰が使うか:現場・経理・入札担当が同じ見方で使えることが条件です。
一本線の原則:契約書(注文書)番号=台帳番号=出来高計算書番号=請求書番号にそろえます。
H2: 台帳の基本レイアウト(テンプレ)
ヘッダー:工事件名/工事場所/発注者/契約区分(元請・下請)/契約金額(税抜・税込の区別)
番号:案件年度-工種-連番(例:25-EL-023)を台帳・契約・出来高・請求・写真台帳すべてに付与
月次欄:材料費/労務費/外注費/経費/出来高(%・金額)
メモ欄:設計変更・追加減額の根拠(変更契約番号・見積日)
ポイント:税込/税抜の基準を台帳の冒頭に明記して、書類間の差異を防ぎます。
H2: 番号運用のルール化(Do)
採番担当を固定(入札担当or工務)し、採番表をチームで共有します。
再発行・差替えは、**番号末尾に版(-R1, -R2)**を付けます。
複数発注に分かれる場合は、親番号+枝番号(-A, -B)で管理します。
H2: 契約→出来高→検査→請求の“つなぎ方”
契約:注文書・請書に台帳番号を記載。
出来高:出来高計算書のヘッダーに同番号、数量根拠(出来形図・写真)を明記。
検査:合格日・立会者を記録し、検査記録に番号を入れます。
請求:請求書(インボイス)に台帳番号・検査合格日を転記。支払通知と突合します。
H2: 設計変更・追加減額の“後追い”を防ぐ
指示→見積→協議→変更契約→施工の順で運用します。
口頭先行のときは当月内追認を徹底し、変更契約にも台帳番号+枝番号を付けます。
変更後の出来高・請求にも必ず変更契約番号を記載して連携させます。
H2: 写真・出来形のそろえ方(“見て分かる”台帳)
前・中・後の3点を同じアングルで撮影します。
銘板・スケール・仕様が読める近接写真を1枚入れます。
出来形図面にマーキングし、数量と写真番号を対応させます(例:P-07→VP管400m)。
H2: 電子化・共有フォルダの構成(コピペ可)
/Projects/
25-EL-023_○○庁舎受変電更新/
01_契約
02_台帳
03_出来高
04_検査
05_請求
06_写真(前_中_後/銘板)
07_変更契約(-A,-B…)
99_差替え一覧
差替え一覧には「いつ/どれを/なぜ差し替えたか」を記録します。
H2: 入札・経審で“刺さる”見せ方
1ファイル化:目次PDF+通し番号で5分で全体像が伝わるようにします。
同種性の強調:経歴書用の要約(名詞+数量×3)を台帳から抽出します。
社会性との接続:出来高→検査→支払サイトの遵守が分かるよう、支払通知・振込控も束ねます。
H2: よくある差戻しと回避策
番号不一致(契約と請求で番号が違う)
回避:採番表を導入し、請求前チェックで照合します。
税抜/税込の混在
回避:台帳冒頭に基準を明記、全書類を同一基準に統一します。
設計変更の未追認
回避:当月内追認をルール化、変更契約番号で全書類をひも付けます。
写真の説得力不足
回避:銘板・仕様が読める近接を必ず入れ、出来形図と対応表を作成します。
H2: 提出前チェックリスト(現場で使える版)
契約→出来高→検査→請求が同一番号で追える
税込/税抜の基準が統一されている
変更契約番号が出来高・請求にも反映
写真3点+銘板近接と出来形マーキングが揃っている
差替え一覧が更新済みで、版管理が明確
提出PDFは300dpi・パスなし・通し番号+目次付き
H2: FAQ
Q. 元請と下請で番号体系が違います。
A. 社内は自社番号を基本にし、相手方番号の対照表を台帳先頭に添えれば運用可能です。
Q. 写真が少ない現場はどう補強しますか。
A. 出来形図・検査記録・試験成績で数量を示し、可能なら完成後の銘板近接だけでも確保します。
Q. 電子と紙が混在します。
A. 最終提出はPDFに一本化し、紙原本指定のものだけ原本添付にします。差替えは差替え一覧で管理します。
お問い合わせはこちらから
おおぞの行政書士事務所
TEL:06-6421-8445
メール:ozono.works@gmail.com