- 所長コラム
専任技術者の“実務経験ルート”で通す方法|要件整理・証跡の束ね方・差戻し回避チェック
資格証だけでなく、実務経験ルートで専任技術者を立てたいケースは少なくありません。
本稿では、要件の整理から経験証明の書き方、契約〜検査までの一本線の作り方、そして差戻しを防ぐチェックまで、現場でそのまま使える形で解説します。
H2: 実務経験ルートの全体像(Know)
ねらい:国家資格が未充足でも、一定年数の同種工事の実務経験で専任技術者に選任するルートです。
ポイント:審査側が見るのは「同種性」「期間の連続性」「本人関与の具体性」の3点です。
結論:工事ごとの証跡を“契約→台帳→出来高→検査→請求”で一本線に束ね、本人の役割を短文で示せば通りやすくなります。
H2: 要件の分解—“同種性・期間・本人性”(Do)
同種性:狙う業種(例:電気、管、舗装)の中核作業が含まれる実績か。
期間:起点・終点が月単位で連続しているか(端境は辞令・配置表で橋渡し)。
本人性:現場での担当工程・数量・指示命令の範囲が書類で追えるか。
H3: 1現場=1行の「本人関与メモ」例
2024/06〜2024/11 ○○庁舎空調配管更新(管)
役割:施工管理(工程・出来高・安全)/VP管400m、AHU×3台、試運転引渡し
H2: 経験証明書の書き方(Do)
基本構成:工事件名/発注者/工期(月単位)/請負者(元請・下請)/本人の従事内容(中核作業+数量)
表現のコツ:抽象語(例:管理業務)に数量・機器名・工程を必ず1〜3点添える。
署名者:会社代表または現場責任者。発注者証明の写しがあれば強度UP。
H3: 書式ミニテンプレ
工事件名:______(例:○○庁舎 空調配管更新)
業種:____(例:管工事)/元請・下請:__
工期:20YY年MM月〜20YY年MM月
本人従事内容:__(例:工程管理・出来高算定、VP管400m、AHU×3台交換、試運転)
署名者・押印:____
H2: 証跡の束ね方—“契約から請求まで一本線”(Do)
契約関係:注文書・請書/下請契約(元請証明があれば添付)。
工事台帳・出来高:出来高計算書・出来形写真・検査記録。
写真3点:前→施工中→完成(銘板や仕様が読める距離)。
請求・入金:請求書(インボイス)・支払通知・振込明細。
本人の紐づけ:会議録・工程表・日報に氏名を残す/配置図で担当表示。
H2: 期間の連続性を作る(Do)
月次年表を作成(着任・異動・退任まで)。
端境は辞令・配置表・賃金台帳で橋渡し。
複数現場の重複は、主従関係をメモ化し、従事割合を記載。
H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)
工事件名が抽象的(例:「改修工事」だけ)
回避:中核作業+数量・機器名を追記(例:VP管400m、AHU×3)。
本人性が弱い(役割が伝わらない)
回避:工程・出来高・安全のうち関与領域を明記。会議録・日報で氏名を補強。
期間のブランク
回避:月単位年表+辞令・配置表・給与台帳で端境を埋める。
元請/下請の線が曖昧
回避:契約関係を注文書→請書で明確化。元請証明を可能なら取得。
PDF品質不足
回避:300dpi・両面一体・パスなし、通し番号・目次を付ける。
H2: 提出パッケージ(コピペ可)
01_経験証明:現場ごとの経験証明書(署名付)
02_契約〜検査:契約書→台帳→出来高→検査→請求・入金の順で綴じる
03_本人性補強:工程表・会議録・日報・配置図(氏名ハイライト)
04_年表:月単位の従事年表(端境の橋渡し資料付き)
05_表記統一:商号・住所・氏名・役職を登記表記に統一(全半角・ハイフン含む)
06_補足:目次PDF・差替え一覧・撮影メモ
H2: チェックリスト(そのまま使えます)
各現場の中核作業+数量が明記されている
月単位年表にブランクがない(端境は辞令等で橋渡し)
契約→台帳→出来高→検査→請求が一本線で追える
会議録・工程表に本人名が残っている
元請/下請の契約関係が明確
PDFは300dpi・両面一体・パスなし、通し番号・目次付き
表記統一(商号・住所・氏名・役職・全半角・ハイフン)が完了
H2: FAQ(よくあるご質問)
Q. 下請実績ばかりですが専任は可能ですか。
A. 可能性はあります。契約関係の明確化と本人関与の具体性(工程・出来高・安全)を厚く示せば通る余地があります。
Q. 途中で他社に在籍していた期間があります。
A. その期間も同種性・本人性を満たせば合算可能です。在籍証明・賃金台帳を添えて連続性を示しましょう。
Q. 写真が少ない現場はどうしますか。
A. 出来形図面・検査記録・見積内訳で補強し、数量を短文で明示してください。
お問い合わせはこちらから
おおぞの行政書士事務所
TEL:06-6421-8445
メール:ozono.works@gmail.com