- 所長コラム
許可換え新規・般特新規・区分見直しの判断と段取り|迷わないフローチャート付
受注エリアの拡大や元請要件の強化で、許可換え新規(知事↔大臣、個人→法人)や一般↔特定の見直し(般特新規)が必要になる場面が増えています。
本稿では、いつ・どの許可に“乗り換える”のが最短かを、実務のフローチャートと提出物パッケージで整理します。
H2: まず決めるのは「なぜ今“換える”のか」(Know)
受注戦略:発注者が大臣許可・特定建設業を要件にしている/JV・元請化の計画がある
組織変更:個人→法人化、本店移転、持株・役員構成の見直し
リスク管理:営業所追加・広域展開で知事許可のままでは入札土俵にのらない
H2: フローチャート(Do)
施工エリアは複数都道府県か? → Yes:大臣許可を検討
**元請で4,000万円超(建築は6,000万円超)**の請負予定があるか? → Yes:特定建設業を検討
**組織再編(個人→法人、合併等)**を予定? → Yes:許可換え新規の要否を確認
営業所の実体・経管・専任の体制は維持できるか? → No:体制整備を先行(空洞化は差戻し要因)
経審・入札の時期に間に合うか? → No:提出順序を**「換え新規→経審→入札」**で逆算
目安:判断が1つでも「Yes」なら、**“換える前提の段取り”**に進むのが早道です。
H2: 許可換え新規(個人→法人・知事→大臣)の段取り(Do)
1) 体制の棚卸し
経管・専任技術者・営業所実体・社会保険の常勤性3点を確認
2) 同一性の説明資料
個人→法人:法人成りの連続性(新旧登記、請求書名義の連続、工事台帳)
知事→大臣:複数都道府県での営業実態(営業所・工事実績・受注計画)
3) 申請→既存許可の扱い
“換え新規”は新規審査扱い。既存許可の有効期限と提出時期を突き合わせる
4) 経審・入札との接続
許可証交付→経審→資格更新の順に。スケジュールは逆算表で管理
H2: 般特新規(一般→特定/特定→一般)の判断軸(Know/Do)
特定へ上げるとき
元請の高額工事を狙う、下請保護体制・財務の厚みが求められる
直前3期の財務状況と**技術者(1級施工管理等)**の確保が前提
一般へ戻すとき
業態見直しで特定要件を満たし続ける負荷が大きい場合。入札要件との整合を先に確認
注意点
体制変更で既存業種の専任が空洞化しないよう、同日付の辞令+社保手続で橋渡し
H2: 提出物パッケージ(コピペ可)
01_会社基礎:登記事項(履歴付)/定款(目的)/商号・住所マスター
02_営業所:賃貸契約/固定電話・回線/標識・内部写真/帳簿保管
03_人員_経管:登記履歴・分掌規程・決裁権限・金融交渉記録(経営関与の証跡)
04_人員_専任:資格者証(両面)or 実務経験束/常勤性3点(社保・給与・就業場所)
05_社会保険:適用事業所通知(本店/支店)・被保険者台帳
06_財務:直近決算・勘定科目内訳書・残高証明・納税証明(国税その3+地方税滞納なし)
07_同一性(該当時):法人成り・合併等の契約、新旧登記・名義連続の請求書
08_補足:表記統一チェック/差替え一覧/目次PDF(通し番号連動)
H2: 逆算スケジュール(例:入札期日から逆算)(Do)
W-10〜W-8:体制棚卸し(経管・専任・営業所・社保)
W-8〜W-6:同一性資料の収集(法人成り・複数県実績)/財務・納税の整合
W-6〜W-4:申請ドラフト→内部レビュー→表記統一
W-4〜W-2:清書・押印・電子申請テスト(PDF品質・容量)
W-2〜W-1:提出→補正即応(差替え一覧・担当者)
W-0:許可交付→経審→入札資格の順で更新
H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)
同一性の説明不足(個人→法人)
回避:新旧登記+請求書名義連続+工事台帳抜粋で一本線を構成
表記ゆれ(商号・住所・役職名)
回避:登記表記をマスターに一括置換、全半角・ハイフンまで統一
専任空洞化(般特切替時)
回避:同日付の代替配置辞令+社保手続完了を添付
PDF品質不足
回避:300dpi・両面一体・パスなし、通し番号と目次で辿れる形に
経審・入札の締切に未達
回避:「換え新規→経審→資格更新」の順で逆算、予備日を確保
H2: ケーススタディ(短文2例)
Case A:兵庫+大阪で受注拡大
知事→大臣許可へ換え新規。営業所実体の整備と複数県実績の提示で通過。
Case B:特定要件が未充足だが高額元請を狙う
特定へ上げる計画を立案。資格者の前倒し取得+自己資本の厚みで要件クリア。
H2: 提出前チェックリスト(現場で使える版)
受注要件(大臣/特定)の**根拠(要綱・募集要領)**を確認
営業所実体・経管・専任の体制に空白がない
同一性の説明資料(新旧登記・請求書名義・台帳)が揃っている
財務・納税・社会保険に滞りや未整合がない
表記統一(商号・住所・役職・日付・全半角・ハイフン)を完了
PDFは300dpi・両面一体・パスなし、通し番号・目次あり
差替え一覧を同梱、補正即応の担当者・連絡ルートを決定
経審→入札資格までの逆算表を作成し共有
H2: FAQ(よくあるご質問)
Q. 知事許可から大臣許可に換えると、番号は引き継げますか。
A. 新規審査扱いが基本です。提出先の案内に沿って旧許可との関係を明示してください。
Q. 法人成り直後で期間が足りません。
A. 連続性の説明(新旧登記・請求書名義・台帳)で補強し、経管・専任の在任期間を月単位タイムラインで示すと通りやすくなります。
Q. 特定に上げるか迷っています。
A. 受注計画と要件(資格者・自己資本)をチェックリストで照合し、不足分の前倒し整備が可能かで判断します。