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社会保険の適正加入と“通し方”|適用事業所・雇用/外注の境界・一人親方の扱い

建設業許可・経審・入札資格の社会性評価では、社会保険の適正加入がボトルネックになりやすいです。
本記事では、適用事業所の確認→雇用/外注の判定→一人親方の扱い→協力会社の管理まで、差戻しを避けて“通る”ための実務手順を整理します。

H2: なぜ社会保険が“点”と“通り”に直結するのか

審査での確認対象:適用事業所の加入状況、被保険者の整合、協力会社の管理体制。

影響範囲:許可、経審の社会性評点、入札資格の参加要件、専任技術者・経管の常勤性証明。

結論:「どこに・誰が・いつから加入」しているかを、書類で一本線にすれば通ります。

H2: 適用事業所の確認(Do)

営業所ごとに、**健康保険・厚生年金(適用事業所通知)と雇用保険(適用事業所設置届控)**を確認します。

本店移転・支店開設・名称変更がある場合、新旧の通知書と変更届控で橋渡しします。

提出のコツ:

書類は300dpi・両面一体・パスワードなしPDF。

ファイル名例:03_社会保険_適用事業所通知_本店_v2_2025-11-21.pdf

H2: 雇用か外注か—判定の実務(Know/Do)

雇用に近いサイン:就業時間/場所の指定、指揮命令、材料・機器の貸与、代替性の乏しさ、報酬が時間比例。

外注に近いサイン:請負契約、完成責任、再委託の可否、成果物単価、機材・人員の自己手配。

リスク対応:

実質雇用なのに外注扱い→加入漏れ・経審減点・是正指導のリスク。

グレーな場合は雇用化(社会保険加入)または契約書・請求書の要件整備で整理します。

H2: 一人親方の扱い(Do)

一人親方=労災の特別加入対象で、雇用保険/厚生年金の対象外であることが通常。

審査では、請負契約・見積書/請求書・作業実態で“外注”の実態を示します。

注意:同じ人物を常時・継続的に指揮命令下で使うと雇用認定リスク。工事単位・成果単位での契約・精算にします。

H2: 協力会社の社会保険管理(Do)

取引開始時に、協力会社の**適用事業所通知(写し)**等を取得し、年1回の更新を標準化。

現場入場時は、作業員名簿と加入状況をチェック。

台帳化:協力会社名/保険状況/最終確認日/担当者をExcelで管理し、入札前に一括更新。

H2: 申請パッケージの標準構成(コピペ可)

01_適用事業所:健康保険・厚生年金の適用通知、雇用保険の適用届控(本店/支店)

02_被保険者台帳:社員リスト、専任技術者/経管はマーカーで明示

03_賃金台帳(直近3か月):氏名・役職・就業場所を判読可能に

04_就業場所証跡:雇用契約/辞令/勤怠、席配置図・内部写真(営業所実体と整合)

05_協力会社台帳:適用通知写し・確認日・担当者、一人親方一覧(契約別)

06_変更履歴:本店移転・名称変更の新旧対照表と変更届控

07_補足:表記統一チェック、差替え一覧、目次PDF

H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)

常勤性3点の期間ズレ(社保・給与・就業場所)

回避:同一月範囲で揃え、端境は辞令で橋渡し。

協力会社の加入不明

回避:適用通知写しの年次更新+現場入場時の名簿確認を運用文書化。

一人親方の雇用認定リスク

回避:請負契約・成果精算・自前機材等で外注実態を明確化。

表記ゆれ(商号・住所・氏名)

回避:登記表記をマスターに一括置換、全半角・ハイフンまで統一。

PDF品質不足

回避:300dpi・両面一体・通し番号・目次で再出力。

H2: 提出前チェックリスト(現場で使える版)

本店/支店の適用事業所通知が最新

専任技術者・経管の常勤性3点が同期間で一致

**賃金台帳(直近3か月)**に役職・就業場所が読める

協力会社台帳に適用通知写し・最終確認日を記録

一人親方は請負契約・成果精算・自前機材で外注実態を立証

名称変更や移転は新旧対照表+変更届控で橋渡し

PDFは300dpi・パスなし・両面一体、通し番号・目次あり

差替え一覧(何を/なぜ/どれに差替え)を同梱

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. 協力会社の保険未加入が見つかりました。入札は不利になりますか。
A. 是正・加入予定を文書化し、台帳更新を行えばリカバリー可能です。現場入場前のチェック運用を添えると効果的です。

Q. 一人親方の人数が多いですが問題ですか。
A. 直ちに不可ではありません。外注実態の明示が重要です。契約・精算・機材・責任分界を文書化してください。

Q. 支店を新設しました。どの書類が増えますか。
A. 支店の適用事業所通知、就業場所証跡、専任者配置の整合資料が追加になります。