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所長コラム

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欠格要件のセルフチェックと対処法|申請前に“通らない理由”を潰すためには

建設業許可の申請で最も避けたいのは、欠格要件の該当による不受理・不許可です。
本稿では、申請直前に行うべきセルフチェック手順と、グレーを**“通る状態”に整える対処法**を実務目線でまとめます。役員交代や本店移転、資本政策のタイミングとも連動させて、差戻しを未然に防ぎます。

H2: 欠格要件の全体像(まず押さえること)

対象は法人そのものに加え、役員・支配人・個人事業主本人、場合によっては主要株主・実質的支配者まで及ぶことがあります。

典型論点は、①反社排除、②破産・後見等の法的制限、③税の滞納、④不正行為・許可取消歴、⑤営業の不良など。

申請書の誓約だけでなく、裏づけ資料(納税・登記・裁判所関係書面等)で説明可能な状態が必要です。

H2: 申請4〜2週間前のセルフチェック(Do)

登記・役員構成

直近で役員就任・辞任・氏名変更があれば、**登記事項(履歴付)**を更新し、各種書類の表記を統一します。

納税状況

国税・地方税の滞納なしを確認(必要に応じて証明書を取得)。分納中はスケジュールと合意書を準備。

反社排除

暴排誓約書の体制(全役員の押印・署名)を確認。取引先審査の運用書があると強度が上がります。

法的制限の有無

役員に破産手続・後見開始・保佐開始の事実がないかを本人申述で確認。該当があれば復権・取消の確認書を取得。

過去の処分歴

許可取消・営業停止・建設業法違反の有無を社内で棚卸し、該当時は事実経過・改善策を書面化。

H2: グレーを“通る状態”に整える対処(Do)

納税の遅延/分納中

申請先の運用に合わせ、分納合意書・入金実績を添付。完納予定表を作り、表記統一で提出。

役員の交代で誓約が揃わない

申請を急ぐ案件は、就任登記完了→誓約書取付→申請の順で日程確保。間に合わない場合は提出先と相談し、補正予定を共有。

旧商号・旧住所の書類が混在

橋渡しメモ(新旧の関係・変更日・登記の写し)を1枚添付。ファイル名と目次を“新基準”で統一します。

反社条項の運用が薄い

取引開始フロー(反社チェック・継続審査)を1枚の社内手順にまとめ、誓約書とセットで提出。

H2: 役員・実質支配者の確認フロー(Know/Do)

関係者の範囲確定:登記役員・支配人・主要株主・実質支配者(議決権等)を一覧化。

本人確認・申述:欠格に関する誓約書を全員分取得。

裏づけ:

納税証明(国税「滞納なし」、地方税も)

破産等の該当がある場合は復権・取消の書類

過去の行政処分歴は通知書・改善策で説明

表記統一:商号・住所・氏名(旧字体・カナ)まで全書類一致。

H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)

誓約書の日付・役職のズレ

回避:登記の日付→誓約→申請の順で整合。旧役職名のまま出さない。

分納中の説明不足

回避:分納合意書+入金実績+完納予定表の3点で示す。

旧商号/旧住所の書類提出

回避:新旧対照表と変更登記で橋渡し。目次冒頭に**“表記の基準日”**を明記。

反社体制の実在不明

回避:運用手順の1枚資料を添付(取引開始時・継続審査のチェック欄付き)。

H2: 提出パッケージの標準構成(コピペ可)

01_会社基礎:登記事項(履歴付)/定款抜粋(目的)/商号・住所マスター

02_役員等:役員一覧/誓約書(全員分)/実質支配者の確認票

03_納税:国税「滞納なし」/地方税滞納なし(支店課税があれば各自治体分)

04_分納・復権等(該当時):分納合意書・入金実績・完納予定表/復権・取消証明

05_反社排除:暴排誓約書/取引開始フロー(1枚)

06_変更履歴:商号・本店移転の新旧対照表/変更登記写し

07_補足:表記統一チェック/差替え一覧/目次PDF

H2: 申請タイムライン(逆算テンプレ)

W-6〜W-4:関係者(役員・主要株主等)確定→誓約書ドラフト→欠格有無のヒアリング

W-4〜W-3:納税証明取得(国税・地方税)/分納合意・復権の証跡収集

W-3〜W-2:登記の更新(役員交代・本店移転)→表記統一の社内展開

W-2〜W-1:目次PDF・差替え一覧作成→内部レビュー(整合性チェック)

W-0:提出→補正即応(担当・代替者・再提出ルートを共有)

H2: 提出前チェックリスト(現場で使える版)

役員・支配人・主要株主・実質支配者の範囲が確定している

誓約書は全員分、役職・日付は登記と一致している

納税証明(国税・地方税)に滞納なし。支店課税の有無を確認

分納・復権など特記事項の証跡が揃っている

反社排除の運用手順(1枚)が添付されている

新旧対照表で商号・住所の変更を橋渡ししている

PDFは300dpi・両面一体・パスなし、通し番号・目次付き

差替え一覧の様式を同梱、補正即応体制が決まっている

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. 代表者を交代したばかりです。いつ申請できますか。
A. 登記完了→誓約書取付→表記統一が整い次第が安全です。急ぐ案件は提出先と補正前提の相談も有効です。

Q. 分納中ですが申請は可能ですか。
A. 合意書・入金実績・完納予定表で誠実な履行を示せば通る余地があります。提出先の運用を事前確認してください。

Q. 実質支配者の判断が難しいです。
A. 議決権比率・役員派遣・資金提供など実態で判断します。確認票を作成し、根拠資料(株主名簿等)を添えます。