公共工事の入札を目指す建設業者にとって、経営規模等評価申請（経審申請）は毎年の勝負どころです。
本稿では、提出直前にやるべき評点ロス防止のチェックと、必要書類の整合・スケジュールの逆算を実務目線で整理します。

H2: 経審の全体像（まず押さえること）

評価は概ね「財務（自己資本・流動性など）」「技術職員（資格者・常勤性）」「工事実績（完成工事高・同種性）」「社会性（保険加入・法令順守）」で構成されます。

申請書の記載は、決算・許可・経歴書・各証憑と矛盾ゼロが前提です。

直前の表記統一（商号・住所・代表者名・日付・全半角・ハイフン）は必須です。

H2: 直前チェック（評点ロスを潰す10項目）

自己資本の厚み

役員貸付・仮勘定は注記・整理済みですか。金融機関の残高証明日付は最新ですか。

売掛金・棚卸の適正化

年齢表の更新と評価の合理性が説明できますか。

資格者の“見える化”

**資格者証（両面）**スキャン、業種対応表、**常勤性3点（社保・給与・就業場所）**の同期間整合はOKですか。

工事経歴書の同種性

工事件名は具体化し、仕様・数量・主要機器を短文で補強していますか。

完成工事高の集計基準

税込/税抜が統一され、会計と一致していますか。注記を冒頭に添えていますか。

社会性（保険・安全・法令順守）

適用事業所・教育記録・安全衛生関係は提示即応ですか。

表記統一

登記・許可・納税・契約書類で完全一致していますか。

電子提出の品質

300dpi・両面一体・パスワードなしPDF、通し番号・目次は入っていますか。

補正即応体制

担当・代替者・差替え手順、**差替え一覧（何を/なぜ）**のひな型は準備済みですか。

提出カレンダー

予約・受付曜日・原本提示の要否、リードタイムは確保しましたか。

H2: 必要書類パッケージ（コピペ可）

01_会社基礎：登記事項（履歴付）／定款（目的）／商号・住所のマスター表記

02_許可・変更：許可通知・許可票写し／決算変更届の提出状況

03_財務：直近期決算書／勘定科目内訳書／残高証明／納税証明（国税その3＋地方税滞納なし）

04_技術職員：資格者証（両面）／業種対応表／常勤性3点（同一期間）

05_工事経歴：工事経歴書／契約→台帳→出来高→検査→請求・入金（一本線）

06_社会性：社保加入証跡／就業規則・教育・安全衛生の記録

07_補足：表記統一チェック表／差替え一覧／目次PDF

H2: スケジュールの逆算テンプレ（実務）

W-8〜W-6：財務・技術・社会性の棚卸（弱点洗い出し）

W-6〜W-4：証憑収集（資格・雇用・社保・実績・財務）／工事経歴の同種性強化

W-4〜W-2：ドラフト作成→内部レビュー（表記・数字・期間整合）

W-2〜W-1：清書・代表押印・電子提出テスト（PDF品質・容量上限）

W-0：提出→補正即応（当日差替え・再提出の導線を確認）

H2: ありがちな差戻しと回避策

常勤性の期間ズレ

同一月範囲で社保・給与・就業場所をそろえ、端境は辞令で橋渡しします。

工事名が抽象的

「改修工事」→仕様・数量を追記（例：VP管400m更新、AHU×3台交換）。

金額基準の混在

税抜/税込を統一、冒頭に集計基準を明記。

PDF品質不足

300dpi・両面一体・パスなし・通し番号・目次で再出力します。

表記ゆれ

登記表記をマスターに一括置換。全半角・ハイフン・番地まで統一します。

H2: 評点アップを狙う小技（今年効かせる版）

資格者の前倒し取得：申請時点で合格・更新が反映されるようスケジュール化します。

社会性の穴埋め：保険・教育・安全の証跡様式を社内標準で統一します。

工事選定：入札で狙う工種に同種性が高い案件を優先し、**写真3点（前・中・後）**を揃えます。

H2: 提出前チェックリスト（使い回し可）

自己資本・仮勘定の整理と残高証明の最新化

資格者証（両面）＋業種対応表＋常勤性3点の同期間整合

工事経歴の仕様・数量追記と証憑の一本線

完成工事高の集計基準を統一し、冒頭に注記

表記統一（商号・住所・代表者・日付・全半角・ハイフン）

PDF品質（300dpi／両面一体／パスなし／通し番号・目次）

補正即応（担当・代替者・差替え一覧の準備）

受付予約・原本提示の要否確認とリード確保

FAQ（よくあるご質問）

Q. 赤字決算ですが経審は出すべきですか。
A. 可能です。債務超過回避や資金繰りの安定性が説明できる体制で臨み、次期改善計画を資料化します。

Q. 資格者が兼務です。常勤性は大丈夫ですか。
A. 体制によります。就業場所が申請営業所で、無専任状態を作らないことが条件です。

Q. 実務経験ルートの証明が薄いです。
A. 契約→台帳→出来高→写真→検査の線を強化し、本人の指導監督記録（施工計画・工程・品質・安全）を補います。