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工事経歴書の書き方と“同種性”の示し方|経審・許可で通る実務

建設業許可や経営事項審査(経審)では、工事経歴書が評価と審査の“土台”になります。
本記事では、記載ルールの要点、同種性の示し方、証憑の揃え方、そして差戻しを防ぐチェックまで、今日から使える実務手順を整理します。

H2: 工事経歴書の役割と基本原則(Know)

目的:直近の完成工事・施工体制・技術力を、第三者が同一基準で比較可能な形に整えること。

原則:事実に即し、他書類と矛盾しない表記(登記・契約・請求・検査)で統一します。

視点:審査側が見るのは「どの工種を、どの規模で、どの体制で行ったか」です。

H2: 記載項目のそろえ方(Do)

工事件名:仕様・工種が分かる表現に修正(例:×「改修工事」→〇「○○施設空調配管更新(管工事)」)。

発注者:正式名称で統一(略称・旧名は避ける)。

工事場所/工期:契約書と完全一致。追加契約・設計変更があれば備考で明記。

請負金額:税込・税抜の基準を統一。経審集計基準と合わせます。

施工体制:元請/下請の別、JVなら構成比・担当範囲を注記。

主要工事内容:数量・仕様・主要機器を1〜3点、単語ではなく短文で。

H3: 記載例(管工事・元請)

例:○○庁舎 空調配管更新工事(管工事)/発注者:○○市
工期:2024.06.01〜2024.11.30/請負:18,700,000円(税抜)
主要内容:VP管400m更新、AHU×3台交換、試運転調整・既設撤去処分

H2: “同種性”を伝える書き方(Do)

工事名だけでは弱いため、対象業種の中核作業が含まれていることを仕様・数量で示します。

写真は“ビフォー/施工中/完成”の3点セットを推奨(対象機器・部位が判読できる距離)。

出来高・検査書類(中間・完了)で工程の節目を見せます。

共同企業体は、自社の担当範囲と出来高比率を記載。

H2: 証憑の束ね方(Do)

線で揃える:契約書→設計書・内訳書→工事台帳→出来高→検査成績→請求・入金。

ファイル名規則:YYMM_工事件名_工種_契約.pdf→…_台帳.pdf→…_検査.pdf→…_請求.pdf。

PDF品質:300dpi、両面一体、パスなし、通し番号・目次付き。

マスキング:個人情報・価格の細部は必要最小限だけ隠し、日付・数量・仕様は読めるように。

H2: 経審向けの“積み上げ”コツ(Know/Do)

完成工事高の集計基準(税抜/税込、出来高計上)を会計と一致させます。

技術者配置は、経歴書と配置図・勤務記録で整合(常勤性3点と同期間)。

分野別の厚み:入札で狙う工種を計画的に増強(資格・実績の両輪)。

H2: ありがちな差戻しと回避策(Know/Do)

表記ゆれ(発注者名・住所・社名)

回避:登記・契約・請求のマスター表記を定め一括置換。

金額基準の混在(税込と税抜が混ざる)

回避:経審の基準に統一し、目次冒頭に集計基準メモを添付。

同種性が伝わらない(「改修工事」等の抽象名)

回避:仕様・数量・主要機器を短文で追記。

写真が不鮮明・部位不明

回避:引き→寄り→銘板の3カットを基本に撮り直し。

JV・下請の範囲不明

回避:担当範囲・出来高割合を明記し、協定・元請証明と突合。

H2: 工事の選び方(提出枠に対する優先順位)

入札で狙う工種と同種性が高いもの

規模(出来高・延長・台数)が適切で比較しやすいもの

検査成績・写真・図書が揃っており再現性があるもの

過年度とのバランス(毎年の実績が切れないように)

H2: 提出前チェックリスト(コピペ可)

工事件名は工種が分かる表現に修正した

発注者名・工期・金額が契約書と一致している

金額の税込/税抜が全件で統一されている

仕様・数量・機器名を1〜3点記載した

元請/下請、JVは担当範囲・構成比を明記した

契約→台帳→出来高→検査→請求の線で証憑が揃っている

写真はビフォー/施工中/完成の3点を確保した

PDFは300dpi・両面一体・通し番号・目次つき

表記ゆれ(商号・発注者・住所)を一括置換で解消した

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. 工事件名が抽象的なままですが、変えて良いですか。
A. 公文書名はそのまま、経歴書上の表示を具体化する形で問題ありません(備考に“契約上の名称:○○”と添えると親切です)。

Q. 下請実績はどこまで書けますか。
A. 契約関係(注文書・請書)と自社の担当範囲が示せれば提出可能です。元請証明があれば強度が上がります。

Q. 写真が少ない現場はどうしますか。
A. 図面抜粋・試験成績・検査簿で補完し、仕様・数量の記述を厚めにします。