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納税証明の取り方と区分ミス防止ガイド|「その1/その2」から電子発行まで

建設業許可・経審・入札資格でつまずきやすいのが納税証明の区分ミスです。
本記事では、どの証明を・何の目的で・どの期間で用意すべきかを整理し、差戻しを防ぐ実務ポイントとチェックリストをまとめます。

H2: まず押さえる納税証明の基本(Know)

納税証明は税目別・用途別に区分があります。

申請先が求めるのは多くの場合、**「滞納がないことの証明」または「納付(完納)状況の証明」**です。

取得先は**国税(税務署・e-Tax)と地方税(都道府県・市区町村・eLTAX)**に分かれます。

H2: 国税の主要区分(Do)

その1:納税額等証明…申告・納税額が必要なとき(融資などで使われがち)

その2:所得金額証明…所得金額や欠損金額の証明

その3:未納の税額がない証明(滞納なし)…許可・入札で頻出

その4:納税証明(税目別)…消費税のみ等、税目を特定して証明

実務メモ:建設業許可・入札では**「その3」(滞納なし)と、ケースにより「その4(消費税)」**を求められることがあります。指示が曖昧なら、様式名まで担当に確認します。

H2: 地方税(法人住民税・事業税・固定資産税 等)の扱い(Do)

受付窓口や名称は自治体で異なりますが、趣旨は**「滞納がない証明」**が主です。

本店所在地の自治体が基本。支店課税がある場合は複数自治体の証明が要ることがあります。

償却資産税・固定資産税の滞納が原因で差戻しになる例もあります。関連税目を網羅してください。

H2: 期間設定と“有効期限”の考え方(Do)

申請要項で「直近分」や「発行後〇か月以内」などの指定があります。

実務では発行日ベースで3か月以内が目安のことが多いです。

決算月前後・申告期限前後は数値のブレが出やすいので、提出日から逆算して取得します。

H2: 取得方法—電子と窓口の使い分け(Do)

国税:e-Taxでオンライン請求→郵送受取または税務署窓口交付。

地方税:eLTAX(対応自治体)または各自治体窓口・郵送。

急ぎのとき:窓口即日交付が早い場合があります。手数料・印紙の有無を事前に確認します。

H3: 代理取得のポイント

委任状が必要な場合があります(法人代表者印の指定に注意)。

申請書の商号・本店・代表者は登記と完全一致で記載します。

H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)

区分違い(その1を出したが実はその3が必要)

回避:申請側の様式名まで確認。迷えば**その3(滞納なし)**を基本に問い合わせます。

税目抜け(消費税のみ必要なのに総合証明を提出)

回避:税目指定の指示を読み込み、**その4(税目別)**を追加取得。

有効期限切れ

回避:提出日から逆算して発行。3か月ルールを社内標準にします。

表記ゆれ(商号・住所・代表者)

回避:登記表記をマスターに全書類統一。全半角・ハイフン・番地まで合わせます。

支店課税の見落とし

回避:営業所の所在地一覧を作り、各自治体の滞納なし証明を洗い出します。

H2: 申請ケース別の選び方(実務)
H3: 建設業許可(新規・更新)

国税:その3(滞納なし)

地方税:本店所在地の滞納なし証明(必要に応じて支店分も)

H3: 経審

申請要領を確認の上、その3を基本に、税目別が指定されていないかチェックします。

H3: 競争入札参加資格

国税・地方税ともに滞納なしが求められる傾向。有効期間と受付ウィンドウを台帳管理します。

H2: ファイル運用と名称ルール(Do)

スキャンは300dpi・パスワードなしPDF、発行日をファイル名に付けます。

例:05_納税_国税その3_滞納なし_v1_2025-11-17.pdf

通し番号+目次に連動させ、差し替え時は差替え一覧を1枚添付します。

H2: 提出前チェックリスト(コピペ可)

**様式名(その1/2/3/4)**を要項で確認した

国税・地方税の両方を準備した(支店課税の要否も確認)

有効期限(発行後〇か月以内)に収まっている

商号・本店・代表者の表記を登記と完全一致に統一した

税目指定(消費税のみ等)の指示があれば反映した

スキャンは300dpi・両面一体・パスワードなしでPDF化した

通し番号・目次に反映し、差替え一覧を同梱した

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. どの区分か不明なときはどうすればよいですか。
A. まず**「その3(滞納なし)」**を前提に、担当窓口へ税目の指定有無を確認します。

Q. 電子交付は対応していますか。
A. 国税はe-Tax請求が可能ですが、証明書の受け取り形態は窓口・郵送の指定が残る場合があります。地方税は自治体によりeLTAX対応状況が異なります。

Q. 代表者が変わった直後ですが、旧代表名義の証明でもよいですか。
A. 原則は現在の登記情報に一致させます。登記変更後に取得し直すのが確実です。