- 所長コラム
専任技術者の“常勤性”と実務経験証明|業種整合を崩さない資料作成
建設業許可のボトルネックになりやすいのが専任技術者です。
本稿では、常勤性の立証と実務経験の同種性・期間の通し方を、提出パッケージの組み方からチェックリストまで実務目線で整理します。公共工事の入札を見据え、業種整合を崩さない運びを解説します。
H2: 専任技術者の要件を3行で把握(Know)
対象:申請する各業種ごとに専任配置(兼務の可否は業種と体制で判断)。
ルート:①資格ルート(施工管理技士 等) ②実務経験ルート(一定年数・同種工事)。
常勤性:就業場所=営業所で、継続的に従事している事実が必要。
H2: 常勤性の立証“3点セット”(Do)
社会保険:被保険者資格の状況(適用事業所が申請営業所)
給与台帳:氏名・役職・支給実績(直近3か月分を推奨)
就業場所:雇用契約/辞令/勤怠記録/席配置図・内部写真
ポイント:同一期間・同一住所・同一氏名表記でそろえると強いです。
H2: 実務経験ルートの“同種性”を証明する(Do)
対象工事の選定:申請業種に仕様・数量・工程が近い工事をピックアップ。
裏づけ資料の線:
契約書・注文書(工事名・場所・工期・発注者)
工事台帳・出来高・写真(本人の関与が読み取れる)
請求書・検査成績書・引渡書類
本人の役割:現場管理だけでなく技術上の指導監督を示す(施工計画、工程・品質・安全管理の記録)。
期間の数え方:月単位のタイムラインで空白を潰し、端境月は辞令や請負期間で橋渡し。
H2: 資格ルートの“通し方”最短メモ(Do)
資格者証(両面)を300dpiでスキャンし一体PDFに。
業種対応表を付け、資格→申請業種の整合を一目で示す。
更新・失効の有無と氏名表記をほかの書類(登記・給与台帳)と一致させる。
H2: 体制変更時の空洞化を防ぐ(Know/Do)
既存業種の専任者を動かす場合は、同日付で代替配置の辞令と社保手続を完了。
複数営業所では、就業場所と勤務実態がブレないよう勤怠・席配置で補強。
業種追加と同時に組み替える際は、変更届の提出期限(概ね30日以内)を先にカレンダー化。
H2: 提出パッケージの標準構成(コピペ可)
01_専任_資格:資格者証(両面・一体PDF)/業種対応表
02_専任_実務(資格なしの場合):契約・台帳・出来高・写真・検査書類(工事別に通し番号)
03_専任_常勤性:社保・給与台帳・就業場所証跡(同一期間)
04_体制図:組織図・席配置・役割分担(業種との紐付け明確化)
05_タイムライン:月単位の在籍・担当工事表(CSVでも可)
06_補足:差替え一覧/提出目録/表記統一チェック
H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)
常勤性の期間ズレ
回避:3点セットを同一月範囲で統一。端境は辞令で橋渡し。
同種性が弱い実務証明
回避:工事台帳から仕様・数量を引用して対象業種との関係を注記。
裏面欠落・解像度不足(資格者証)
回避:両面一体PDF/300dpi/パスなし。
表記ゆれ(氏名・住所・役職)
回避:登記・住民票・給与台帳を同一表記に統一。
専任空洞化(既存業種が無専任に)
回避:代替配置の辞令+社保手続完了を同封、変更届の期限管理。
H2: 提出前チェックリスト(現場で使える版)
資格/実務どちらのルートかを明記
資格者証 両面一体PDF・300dpi/氏名表記は他書類と一致
実務資料は契約→台帳→出来高→写真→検査の一本線
常勤性3点(社保・給与・就業場所)を同一期間で整合
体制図で業種と配置者の紐付けが明確
在籍タイムラインに空白がない
表記統一(氏名・住所・役職・日付・全半角・ハイフン)
変更届の期限(体制変更がある場合)をカレンダー化
H2: FAQ(よくあるご質問)
Q. 実務経験の“同種”はどの程度の近さが必要ですか。
A. 仕様・数量・工程が対象業種の工事内容と対応していることが読み取れる資料が望ましいです。工事件名だけでは弱く、台帳・出来高・写真で補強します。
Q. 兼務は可能ですか。
A. 業種や営業所体制によります。常勤性が崩れないこと、既存業種が無専任状態にならないことが前提です。
Q. 一部の資料に個人情報が含まれています。
A. マスキングで不要部分を隠し、タイトル・日付・数量・役割が読める状態を維持してください。