入札規模や工種の要件を満たすために、共同企業体（JV）を活用するケースが増えています。
本記事では、構成比の考え方・協定書の要点・経審や参加資格との関係・提出書類の整え方を、実務で詰まりやすい順に整理します。今日の案件から使えるチェックリストも用意しました。

H2: JVを組む目的と判断軸（Know）

目的

規模要件の充足（完成工事高・技術者数）

工種補完（電気＋管、土木＋舗装 等）

施工リソースの平準化（工期・エリア対応）

判断軸

発注者のJV可否・形態（共同・分割・特定）

代表企業の責任範囲（調達・品質・工程・対外窓口）

構成企業の強みと弱み（技術・財務・過去実績）

H2: 構成比の設計（Do）

原則：入札要綱の最低構成比・上限に合わせます。

実務計算：工種ごとの施工比率＝予定工程×数量×難易度補正で内訳を試算。

連動確認

工程表／出来高管理方式と整合しているか

下請・持ち帰り禁止項目の有無（代表が担保すべき範囲）

H3: 代表企業の「やることリスト」

発注者との契約窓口、工事代金の受領・配分

全体工程・品質・安全の統括、外部説明

JVの会計・税務処理（按分・共通費の配賦ルール）

H2: JV協定書の要所（Do）

必須事項

代表企業・幹事社、構成比、役割分担

代金受領と債務履行の責任（連帯／個別）

共通仮設・管理費の配賦方法

紛争解決条項（協議→調停→管轄）

情報管理（図書・設計変更・事故報告）

差戻し防止

商号・住所・代表者名の表記統一（登記・許可・参加資格）

捺印／署名の相違、日付の前後関係（協定→入札→契約）

H2: 経審・参加資格との関係（Know/Do）

経審

各社のP点や技術職員数が要件になる場合あり。

実績の帰属：完成後の実績をどの社に・どの割合で計上できるか、発注者の運用を確認。

参加資格

名簿登録・ICカード権限・電子入札ポータルのユーザー権限を事前に整える。

JV名義でのアカウント作成／代表企業の送信権限など、事務手続きを分担表に落とし込みます。

H2: 提出書類とファイル運用（Do）

協定書、役割分担表、構成比内訳、代表者の委任状

各社の許可証・経審結果・納税証明・社会保険加入証跡

工程表・安全衛生計画・品質計画の統一版

電子提出は01_協定/02_役割/03_許可経審/04_工程品質/99_受領控の階層＋通し番号で整理

H3: 版管理のコツ

変更が出やすいのは役割分担と工程表。

役割分担_v1→v2に更新したら、差替え一覧（何を・いつ・なぜ）を1枚付けて再提出します。

H2: リスクとコントロール（Know/Do）

出来高・品質の責任分界が曖昧

対策：**検査区分（中間・出来高）**で責任主体を明記、立会い企業を指定。

情報伝達の遅延

対策：設計変更・質疑応答の連絡ルール（誰に・いつまでに）を協定書付属で定義。

会計処理の齟齬

対策：共通費の**配賦基準（人員時数・出来高）**を文章化、エビデンスを残す。

安全管理の温度差

対策：KYミーティング・安全巡視の頻度と記録様式を統一。

H2: 当日の入札・契約オペレーション（Do）

電子入札：代表企業の送信権限確認、ICカード・証明書チェーンの整合。

開札立会：各社の出席要否、議事メモを共同で作成。

契約時：JV名義の印鑑・銀行口座、**保険（賠償・建設工事）**の付保関係を確定。

H2: 完成後の実績帰属と次年度の布石（Know/Do）

検査成績書・完成報告書に各社の担当範囲を反映。

次年度の経審実績計上・入札資格更新に使う記録（写真・出来高・工程）を案件フォルダに即格納。

成功・失敗要因を**JVレビュー（1枚）**にまとめ、次案件へ横展開。

H2: 提出前チェックリスト（コピペ可）

協定書：代表・構成比・責任・配賦・紛争解決を明記

表記統一：商号・住所・代表者名が全書類で完全一致

役割分担：工程・品質・安全・出来高の責任分界が明確

経審・資格：各社のP点・保険・納税証明を最新化

電子入札：権限・ICカード・ユーザー設定を確認

版管理：差替え一覧と99_受領控の保存ルールを適用

完成後：実績の帰属ルールと証跡保存先を決定

H2: FAQ（よくあるご質問）

Q. 構成比は工期途中で変えられますか。
A. 原則は契約前の協定どおりです。変更が必要な場合は発注者協議→協定変更の正式手続が必要です。

Q. 実績は代表企業だけに付くのですか。
A. 発注者の運用によります。多くは役割・出来高に応じて各社へ帰属可能ですが、協定・完成書類で裏づけが要ります。

Q. JVの会計はどう分けますか。
A. 共通費は配賦基準を合意し、証跡（人員時数・出来高）で説明できるようにします。