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電子入札の事前準備と当日運用チェックリスト|ICカード・動作環境・代理提出

公共工事の入札は、電子入札が主流になっています。
本記事では、ICカードの整備/環境設定/当日の運用手順を中心に、差戻しや“締切直前トラブル”を避ける実務ポイントをまとめます。自治体ごとの細かな運用差に左右されにくい、汎用チェックリスト付きです。

H2: 電子入札の全体像(押さえるべき3点)

認証基盤:ICカード(入札用電子証明書)+カードリーダー+中間証明書のセットアップが前提です。

動作環境:OS/ブラウザ/Java・暗号モジュール等の要件を満たす必要があります。

提出フロー:公告確認→設計書等の取得→入札書作成→電子署名→送信→受領確認の順で進めます。

H2: 事前準備(Do)—“締切2週間前”に完了

ICカード・PIN

有効期限・名義(商号/代表者)を確認します。更新の場合は到着までのリードを確保します。

PINロック対策:誤入力カウンタを事前に把握(ロック解除に時間がかかります)。

中間証明書・ルート証明書

発行元の最新証明書をインストールし、証明書チェーンが正しく認識されるか確認します。

カードリーダー動作

予備リーダーを1台用意し、USBポートの相性もチェックします。

端末・ブラウザ

推奨環境(OS/ブラウザ)を満たす端末を2台用意(本番・予備)。

ブラウザのポップアップ許可/PDFビューア設定を整えます。

メール・連絡体制

受領通知・質疑回答の通知先を複数名で受けられるよう共有アドレスに設定します。

H3: ファイル管理の基本

入札案件フォルダを作成し、01_公告/02_図書/03_質疑/04_入札書/99_送受信控の階層で整理します。

入札書は**版管理(v1, v2)**し、送信した版を99に確定保存します。

H2: 当日の運用(Do)—“締切の前日〜当日”

時刻同期

PCの時計を**ネットワーク時刻(NTP)**で同期。締切時刻のズレに注意します。

入札書の作成・署名

金額・工種・工区・内訳の入力後、電子署名を付与し、署名検証まで確認します。

送信・受領確認

送信後、受付番号・タイムスタンプ・「受領済」ステータスをスクリーンショットで保存します。

差替え(再提出)

差替え可否と締切時刻までの余裕を確認。差替え理由と差替え前後の版を明示して保存します。

H3: ありがちなミスと即時対策

PDFが開けない/文字化け → 別ブラウザ・別端末で再試行、PDF/Aで再出力。

署名検証エラー → 中間証明書の再インストール、カード挿抜、別USBポート。

送信ボタンが反応しない → ポップアップ許可・キャッシュ削除・ブラウザ再起動・予備端末へ切替。

H2: 代理提出・権限管理(Know/Do)

代理人運用

委任状の形式・有効期間・案件特定(案件名/公告番号)を明記します。

代理用アカウントの権限範囲(閲覧/作成/送信)を分け、操作ログを残します。

内部統制

金額入力者と送信者を分離し、ダブルチェック表に署名。

代理提出時は、代表者連絡先に送信完了の即時連絡ルールを設定します。

H2: トラブル時の代替手順(Do)

カードリーダー不良 → 予備端末+予備リーダーへ即切替。

ICカード障害/PINロック → 発行元サポート窓口の連絡先・営業時間を控え、緊急再発行の可否を確認。

システム障害(発注者側) → 公式アナウンスの障害情報を保存、指示に従い再開後に再送。

通信障害(社内) → テザリング/モバイルルータを待機。回線切替の手順をマニュアル化。

H2: セキュリティと保守(Know/Do)

ICカードの保管:耐火金庫等で保管、貸出簿を付け、持出時は返却期限を明示。

端末の更新:OS・ブラウザ・暗号モジュールを月次で更新、更新後はテスト署名を実施。

監査ログ:送受信記録・受付番号・スクリーンショットを案件フォルダに一元保存。

H2: 提出前チェックリスト(コピペ可)

ICカードの有効期限・名義を確認した(予備リーダーあり)

中間証明書/ルート証明書を最新化し、署名検証が通る

端末は推奨環境、予備端末も用意した

フォルダ構成と版管理(v1, v2…)ができている

金額・工種・工区をダブルチェック/承認済み

電子署名→送信→受付番号取得まで確認し、控えを保存

締切時刻に合わせPC時刻を同期した

代理提出の委任状と権限設定を確認

障害時の代替回線(テザリング等)と連絡先を手元に用意

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. ICカードは何年ごとに更新が必要ですか。
A. 一般に有効期間が設定されています。期限切れ直前は発行のリードが読めないため、3か月前には更新手続を開始するのが安全です。

Q. ブラウザはどれでもいいですか。
A. 発注機関の推奨環境に従ってください。同じ設定の予備端末を用意しておくと当日のリスクが下がります。

Q. 入札書を送った後に金額を直したいです。
A. 差替え可否と締切前後がポイントです。差替えが可能で締切前なら、理由と版番号を明示して再提出します。