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所長コラム

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経営事項審査(経審)の評点アップ戦略[入門]—P点を底上げする短期・中期・長期アクション

入札の可否とランクに直結する**総合評定値(P点)**は、財務・技術・実績・社会性などの複合指標で決まります。
本記事では、今日から着手できる短期施策、次決算までに効く中期施策、体質を変える長期施策に分けて、実務で点を取りにいく手順を整理します。

H2: 経審の全体像(まず押さえるべきこと)

評価はおおむね「財務の健全性」「技術者・資格」「完成工事実績」「社会性(法令順守・保険等)」の観点で構成されます。

**証憑の整合(誰が・どこで・いつ)**が通算の前提です。申請直前に慌てないよう、平時から帳票と根拠を揃えることが重要です。

P点は年度ごとに積み上げます。決算・申請タイミングの設計が勝敗を分けます。

H2: 短期(0〜3か月)で効くアクション
H3: 1) 社会性の即時整備

社会保険の適正加入状況を点検し、未加入・区分誤りを是正します。

就業規則・安全衛生・教育記録を整備し、いつでも提示できる状態にします。

H3: 2) 技術者の“見える化”

資格者証(両面)・経歴書・配置図を最新化します。

常勤性の三点(社保・給与・就業場所)の同一期間整合を取ります。

H3: 3) 申請書類の原本突合

登記・社名表記・住所を全書類で統一します。

実績は工事台帳→契約書→請求書→入金記録→写真の一本線で裏づけます。

H2: 中期(3〜12か月)で効くアクション
H3: 4) 技術ラインの強化計画

有資格者の計画的育成(施工管理技士など)を年度計画に落とし込みます。

急所工種の専任ダブル体制を作り、業種追加・元請比率向上に備えます。

H3: 5) 財務の筋肉化(次決算まで)

自己資本の厚みを意識し、役員貸付・仮勘定の整理を進めます。

売掛金年齢表・棚卸を適正化し、資金繰り計画を整えます。

H3: 6) 実績の“作り方”を最適化

工事完成の区切りと検査・引渡し書類の完備を徹底します。

元請比率の戦略(得意先の再編・JV活用・分野拡張)を検討します。

H2: 長期(1年〜)で効くアクション
H3: 7) 資本政策と採用・育成

増資や利益剰余の蓄積で自己資本比率を高めます。

新卒・経験者採用と資格取得支援で技術者数を持続的に増やします。

H3: 8) 内部統制と安全文化

安全衛生・教育・法令順守のPDCAを仕組みに落とし、証跡を継続記録します。

下請・協力会社の選定・評価基準を文書化します。

H2: 申請スケジュールの逆算(テンプレ)

W-12〜W-8:技術者・社会性・財務の整備方針決定

W-8〜W-4:証憑収集(資格・雇用・社保・実績・財務)・ドラフト作成

W-4〜W-2:内部レビュー(表記統一・同種性・常勤性)・不足回収

W-2〜W-1:清書・代表押印・提出予約

W-0:提出(電子/窓口)→補正即応(即日再提出できる体制)

H2: ありがちな失敗と回避策

常勤性の証明不足

対策:社保+給与+就業場所の三点を同一期間で揃えます。

同種性の弱い実績

対策:工事台帳の仕様・数量・工程を引用し、対象業種との関係を明確にします。

表記ゆれ

対策:登記と同一の字形・全半角・ハイフンで統一します。

財務の弱さが露呈

対策:役員貸付の回収・仮勘定の解消、残高証明は直前日付で取得します。

提出方式の取り違え

対策:自治体の予約・電子可否・原本提示の運用を事前確認します。

H2: スコア向上のためのチェックリスト(コピペ可)

社会保険適正加入:加入証跡と就業規則・安全衛生の記録を整備しましたか。

技術者:資格者証・経歴書・配置図・常勤性三点を最新化しましたか。

実績:契約→請求→入金→写真の一本線で裏づけられますか。

財務:自己資本強化、売掛・棚卸の適正化、納税証明・残高証明の期間整合はOKですか。

スケジュール:決算・申請・入札カレンダーの逆算表は作成済みですか。

表記統一:商号・住所・代表者名・日付・単位のブレがありませんか。

補正即応:担当・代替者・再提出手順を共有していますか。

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. 今期すぐに上げやすいのはどこですか。
A. 社会性の整備と技術者の証憑更新は短期で効きます。財務は次決算までの計画が肝要です。

Q. 技術者は資格と実務経験のどちらで主張すべきですか。
A. 通りの速さを優先するなら資格ルートが無難です。実務は補強資料に回すと安定します。

Q. 赤字決算でも申請は可能ですか。
A. 可能な場合がありますが、債務超過回避と支払能力の説明、改善計画の資料化が前提です。