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経営業務の管理責任者(経管)の“通し方”完全ガイド|要件・証憑・差戻し対策

導入

公共工事の入札を目指す建設業者にとって、経営業務の管理責任者(以下、経管)の立証は許可審査の最重要ポイントです。
本記事では、要件の整理から役員歴・経営経験の証明方法、組織再編時の橋渡し資料、差戻しの典型事例まで、実務に効く通し方を解説します。

H2: 経管とは何者か(Know)

役割:営業所の経営業務を総合的に管理・統括できる立場の者。

配置要件:法人は役員等、個人は本人または支配人などが該当。

審査の勘所:肩書きだけでなく、経営に関与していた実態と年数の立証。

H3: よくある誤解

「役員就任=自動で満たす」→ ×。経営関与の実態や在任期間の資料が要る。

「親会社の役員歴がある」→ △。対象業種との関連性や統括範囲を補足必要。

H2: 要件の体系と満たし方(Do)

基準の柱

一定年数の経営経験(例:建設業の経営管理に関与)

役員等の地位(取締役・執行役・業務執行社員など)

実態の裏付け(決裁権、組織図、職務分掌 など)

年数の考え方

在任期間は登記事項証明書等で客観的に確認。

途中の空白・社名変更・代表交代は橋渡し資料で連続性を担保。

H3: 立証ルート別の基本パック

役員ルート

登記事項証明書(就任・退任の期間が分かる)

株主総会議事録/取締役会議事録(決裁・経営関与の根拠)

職務分掌規程/組織図/稟議フロー

支配人・個人事業主ルート

商業登記の支配人登記/個人事業の開業・実績資料

決算書・請求書・発注書・見積書・工事台帳 等

H2: 組織が動いたときの“橋渡し資料”(Do)

社名変更・本店移転:変更登記、請求書・契約書の名義連続、同一性の説明書

合併・分割・事業譲渡:契約承継書、譲渡対照表、役職・職務の継続を示す社内文書

役員改選:改選議事録、旧新体制の職務比較表(経営権限の連続性を説明)

H3: 代表が交代したケース

旧代表→新代表で経管を引き継ぐ際は、引継ぎメモ・決裁権限表を添付すると通りやすい。

H2: 証憑の作り方と整え方(Do)

役員在任の根拠:登記事項証明書、就任・解任議事録、役員名簿。

経営関与の実態:職務分掌、決裁規程、組織図、稟議書のサンプル。

建設業との関連性:工事実績一覧(元請・下請)、取引先リスト、事業計画書の抜粋。

連続性を図で:タイムライン表(年月軸+地位+担当部門)を1枚で可視化。

実務Tip:資料は書式統一(社名・住所・代表名の字形/全半角/ハイフン)を徹底。
PDFは解像度300dpi以上、日付・押印・番号が判読できるかチェック。

H2: 差戻し・不備の典型と対策(Know/Do)

在任期間の空白 → 月単位で埋める。就任日⇄退任日のつながりを橋渡し。

肩書きと実態のズレ → 役員でも決裁権なしの実態だと弱い。規程と稟議で補強。

別業種色が強い → 建設業の経営管理に触れていたことを資料で強調。

社名変更の説明不足 → 旧社名と新社名の同一性を表で明示+登記で裏付け。

H2: 経管“代替案”の検討(Do)

社内昇格:部門長→取締役就任前に、職務分掌と決裁範囲の拡充を文書化。

グループ内人材:兼務は原則避ける。常勤性・経営関与がブレない専任化を。

外部登用:入社→役員選任のスケジュールを逆算。就任議事録の時期に注意。

H2: 提出前セルフチェックリスト(テンプレ)

在任期間:年月の連続/空白なし

地位の根拠:登記事項証明・議事録の整合

経営実態:決裁規程・組織図・分掌の整合

建設業との関連:工事実績・会議体議事録の引用

表記統一:商号・住所・氏名・日付の統一

橋渡し:改組・商号変更・本店移転の連続性説明

H2: 経審(経営事項審査)との関係(Know)

経管は許可要件だが、経審では経営管理体制の実態が間接的に評価へ反映。

内部統制・法令遵守の整備(就業規則、安全衛生、社保加入)は社会性加点に波及。

H2: FAQ(よくある質問)

Q. オーナー家の取締役でも通せる?
A. 可能。ただし実態(決裁・統括)が資料で示せること。名義役員は×。
Q. 途中で個人→法人化した場合は?
A. 個人期の経営実績を工事台帳・請求書で補強し、法人期へ連続説明を付す。
Q. 代表が他社を兼務中でもOK?
A. 原則NGリスク。常勤性と経営関与の実態が毀損しない体制が必要。

まとめ(次アクション)

登記・議事録・分掌規程を一式棚卸し

タイムライン表で在任と役割の連続を可視化

改組・社名変更がある場合は橋渡し資料を先に作る