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経審で“あと10点”を積む現実的な方法3選|半年〜1年で効く即効&堅実メニュー

公共工事の入札で「評点があと少し届かない……」——経営事項審査(経審)では、この“あと10点”が落札の可否を左右します。とはいえ、無理な投資や長期プロジェクトは現実的ではありません。この記事では、経営規模等評価申請に精通した行政書士として、半年〜1年で狙える現実的な加点策を3つに絞って、やる順・必要書類・注意点までわかりやすく解説します。キーワードは**「技術力(Z点)」「社会性等(W点)」「経営状況(Y点)」**の三本柱。組み合わせれば、十分に“+10点”が見えてきます。

① 技術職員の「計画配置+資格マップ」でZ点を最短で上げる

ねらい:Z点(技術力)を底上げして一気に数点〜10点超を狙う。

現実的な打ち手

1級施工管理技士・監理技術者の採用または育成計画を立てる

常勤要件(雇用保険・社会保険の加入状況、勤務実態の証明ができること)を満たす運用にする

資格マップ(「だれが」「どの工種で」「どの現場に」)を作成し、工種別の評点に直結させる

タイムラインの目安

新規入社分を経審の審査基準日までに常勤として運用(一般に6か月以上の常勤実績を確保しておくと安心)

資格取得組は受験スケジュールから逆算。短期は採用、 中期は育成の二段構え。

よくあるつまずき

「業務委託」「非常勤」扱いでカウントされない

資格証・合格証の原本確認や名簿整備が不十分

工種の選定ミスで点数効率が悪い

必要書類の一例

技術職員名簿、資格証の写し、雇用保険・社会保険の加入確認、出勤簿等の勤務実態資料

ポイント:Z点は一人の即戦力で数点〜10点超が動くことも。“あと10点”の最短ルート候補です。

② W点は“即効3点セット”で固める:社会保険100%・建退共・防災協定

ねらい:W点(社会性等)で確実に積む。短期でも成果が出やすい。

即効3点セット

社会保険(健保・厚年・雇用)に全員適正加入

下請・現場常駐者も含め、名簿と整合した加入状況の可視化

建設業退職金共済(建退共)に加入・活用

新規加入・未加入者の掘り起こし、手帳発行・証明書類整備

自治体との防災協定を締結

地元自治体・建設業協会と連携、締結から証明書の取得まで進める

やる順番

社会保険の空白ゼロ化 → 2) 建退共の加入・運用開始 → 3) 防災協定の締結申請
これでW点が安定的に上がり、監査対応にも強い体制が整います。

注意点

名簿・賃金台帳・雇用契約書の突合せを徹底

建退共は現場実務で使える運用(現場配布・未使用防止)まで落とし込む

防災協定は対象工種と実働体制を示せる準備がカギ

ポイント:W点はコストを抑えつつ確実に積める。①と組み合わせると“+10点”到達がぐっと現実的に。

③ 決算までにY点(経営状況)を底上げ:数字で確実に伸ばす

ねらい:Y点(経営状況分析)を“決算対策”で底上げし、5〜10点の上積みを狙う。

今期すぐ効く施策(実務)

自己資本を厚くする:役員借入金→増資、不要資産の売却、利益留保の重視

利益率を上げる:赤字・薄利案件の見直し、歩掛・実行予算の引締め、材料一括発注

キャッシュ改善:短期借入の一部長期化、回収サイト短縮、在庫圧縮

販管費のオーバーヘッド削減:保険の重複見直し、外注単価の適正化

実務のコツ

税理士・行政書士・金融機関と3者で数値シミュレーション

期末の回収・支払スケジュールを管理表で見える化

経営状況分析(Y点)の評価項目ごとにKPI(例:自己資本比率○%、売上高経常利益率○%)を設定

ポイント:派手さはなくても決算で効くのがY点。①②で積んだ点をY点で下支えすると総合評点Pが安定します。

3つをどう組み合わせる?(モデルプラン)

短期(〜3か月):W点の即効3点セットを着手(社会保険100%/建退共/防災協定)

中期(〜6か月):即戦力の有資格者1名を常勤化+資格マップ整備(Z点)

期末まで:税理士同席で決算着地のY点シミュレーション → キャッシュと利益率を最適化

この順番なら、**半年〜1年で“+10点以上”**が十分現実的です。

まとめ:
“あと10点”は、戦略と順番で積めます。
まずはW点の即効3点セットで土台を固め、Z点は常勤有資格者の計画配置で一気に押し上げる。最後にY点を決算で底上げして総合評点Pを安定させましょう。

今すぐのアクション

技術職員・社会保険・建退共・防災協定の現状チェックリストを作る

**資格マップ(だれが・どの工種で・どの現場に)**を1枚で見える化

税理士・行政書士・金融機関で30分のY点シミュレーションミーティングを設定

「自社の場合はどれを先にやるべきか?」は業態・工種・人員構成で変わります。御社の評点テーブルを拝見できれば、来期の審査基準日に間に合う“加点の設計図”をその場で作成します。お気軽にご相談ください。