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所長コラム

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公共工事の入札資格(指名・一般競争)と更新実務|名簿登録・年度更新・提出物を一気通貫で

建設業許可を取った後に入札の土俵へ確実に上がるには、発注者ごとの入札参加資格(名簿)登録と年度更新を落とさないことが重要です。
本稿では、登録→評価→更新→提出物までを一気通貫で整理し、差戻しを防ぐチェックリストもご用意します。

H2: 入札参加資格の全体像(まず押さえること)

登録の二本立て:国(各省庁・機関)系と地方公共団体(都道府県・政令市・市町村)で運用・様式が異なります。

評価の軸:経審点、施工実績、社会性(保険加入・コンプライアンス)、地域貢献・表彰等が組み合わさります。

更新の周期:多くは年度(または隔年)更新です。受付期間が短いためカレンダー化が有効です。

H2: 登録前の準備(Do)

業種戦略の明確化:狙う工種・規模帯(例:電気・5000万円未満)を先に決めます。

会社基礎の整合:登記・許可票・電話番号・所在地を完全一致に統一します。

証憑の棚卸し:経審結果通知、工事経歴の要約(同種性が分かる短文)、社会保険の加入証跡を揃えます。

電子ポータルの確認:ID発行や担当者メールの受信設定を複数名で共有します。

H2: 新規登録の提出セット(コピペ可)

01_会社基礎:登記事項(履歴付)/定款(目的)/許可通知・許可票写し

02_経審・実績:経審結果通知/工事経歴(元請・下請の別、同種性が分かる記載)

03_社会性:社会保険適用事業所通知・被保険者台帳(要マスキング)/安全衛生の取組

04_財務:直近決算書・勘定科目内訳書(摘要の個人情報は必要最小限)

05_表記統一:商号・所在地・代表者・電話番号のマスター表(全半角・ハイフン統一)

06_補足:暴排誓約書・反社チェック運用メモ(1枚)/目次PDF・差替え一覧

ポイント:PDFは300dpi・両面一体・パスワードなし、通し番号と目次で辿れる形にします。

H2: 格付(ランク)と評価の考え方(Know)

格付の材料は、経審点+過去実績+加点(表彰・ISO・地域要件など)です。

狙い撃ち戦略:すぐに高ランクを狙うより、勝ちやすい規模帯と頻出工種で落札実績を積み上げる方が効率的です。

来期に向けた布石:今年は資格者の前倒し取得や社会性の穴埋め、写真・検査の質を高めて実績を“見える化”します。

H2: 年度更新(継続申請)の運用(Do)

更新カレンダー:受付期間・必要書類・問い合わせ先を発注者別に一覧化します。

更新差分:前年提出との差分(代表者交代・本店移転・業種追加・決算内容)を新旧対照表で整理します。

よくある要求:

最新の経審結果通知

納税証明(国税その3+地方税滞納なし)

工事成績・事故有無の報告(該当時)

社会保険の継続加入状況

承認後の社内展開:格付・有効期限・注意事項を入札台帳に反映します。

H2: 名簿追加・変更時の注意(Do)

工種追加:工事経歴と資格者の同種性を補強し、専任空洞化を出さない体制図を添付します。

商号・所在地変更:新旧対照表+登記変更写しで橋渡しし、ポータル上の表記も即時更新します。

代表者交代:誓約書・暴排誓約・印鑑登録(必要時)を登記完了後の情報で統一します。

H2: 申請書の書き方—差戻しを防ぐコツ(Do)

工事件名の具体化:抽象名は避け、仕様・数量・主要機器を短文で追記します。

金額の基準統一:税込/税抜の統一と注記。経審集計と合わせます。

写真の質:前・中・後の3点セット、銘板や仕様が判読できる距離で撮ります。

表記ゆれ撲滅:登記表記をマスターにし、全半角・ハイフン・番地まで完全一致にします。

H2: よくある差戻しと回避策(Know/Do)

有効期限切れの証明書

回避:提出日から逆算3か月ルールで取得し直します。

社会保険の“住所ズレ”

回避:適用事業所の住所を許可・登記とそろえ、変更届控を添付します。

実績の“同種性が伝わらない”

回避:工事件名に仕様・数量を追記し、台帳・検査・写真で一本線にします。

PDF品質不足・容量超過

回避:300dpi・両面一体・パスなし。容量は案件ごと分割+目次で対応します。

ポータル設定の不備

回避:担当者メールを複数名にし、受領通知・補正通知が確実に届くようにします。

H2: 提出前チェックリスト(コピペ可)

経審結果通知は最新回か(点数・有効期間の確認)

国税その3+地方税滞納なしの証明が期限内

代表者・本店・電話番号の表記統一(登記・許可・ポータル一致)

工事経歴は同種性の高い案件で構成、仕様・数量を追記

社会保険は適用事業所通知+被保険者台帳で整合

写真は前・中・後の3点、銘板・仕様が読める

PDFは300dpi・両面一体・パスなし、通し番号+目次あり

差替え一覧(何を・なぜ・どれに差替え)を同梱、補正即応体制を決定

H2: FAQ(よくあるご質問)

Q. 登録先が多くて管理が大変です。
A. 発注者別の更新カレンダーと入札台帳を作成し、証憑は共通パッケージ化すると運用が楽になります。

Q. 実績が少ないのですが、登録の意味はありますか。
A. あります。小規模帯や分野特化で実績を積み、翌年度の格付向上を狙うのが近道です。

Q. 代表者交代や本店移転が直前にありました。
A. 登記完了→表記統一→提出の順が安全です。新旧対照表で橋渡しすれば通りやすくなります。